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みかんの機能性
第12回
ミカンを食べると善玉コレステロールが高くなる?

  健康診断の血液検査に「血清脂質」という項目があります。この項目の中には、中性脂肪、LDL‐コレステロール(低比重リポタンパク中のコレステロール)、HDL‐コレステロール(高比重リポタンパク中のコレステロール)などの測定値が記載されています。中性脂肪とLDLコレステロールのいずれかが基準値より高いか、HDL‐コレステロールが基準値より低い場合は、脂質異常症と判定されます(2007年、高脂血症の診断基準が見直され脂質異常症と改められました)。このような状態が続くと、動脈硬化、脳梗塞、心臓病などを発症しやすくなります。
  LDLはコレステロールを肝臓から各組織に運び、逆にHDLはコレステロールを体の各組織から肝臓に戻し動脈硬化を防ぐ働きがあります。そのため一般にHDL‐コレステロールが善玉コレステロール、LDL‐コレステロールが悪玉コレステロールと呼ばれています。LDLが増加し、HDLが減少すると動脈硬化を引き起こしやすくなります。
  今回は、ミカンの摂取と血液中の血清脂質の関連についての研究結果をご紹介します。なお、本研究は(独)農研機構果樹研究所の杉浦実先生によって行なわれたものです。


   本研究は、喫煙歴のない健康な女性ボランティア94人の協力を得て、ミカンのオフシーズンである9月とミカンシーズンの1月の2回、血液中のβ‐クリプトキサンチン濃度と血清脂質の測定が行われました。その結果、LDL‐コレステロール値は、血中のβ‐クリプトキサンチンレベルの高いグループと低いグループ間で差は認められませんでしたが、1月に血清β‐クリプトキサンチンレベルが高くなる人ほど(ミカンをよく食べる人ほど)HDL‐コレステロール値が年間を通して高いことが判りました。(第2回「ミカン摂取と血液中のβ‐クリプトキサンチンの関係」をご参照下さい)。
  今回の調査結果から、ミカンを習慣的に摂取することは、脂質の代謝を改善し、動脈硬化や心臓病などの予防に有効である可能性が考えられます。



リポタンパク
   体内にある脂肪は水に溶けませんので、そのままでは血液中を循環することができません。そこで、アポリポタンパクというタンパク質と結びついて、水に溶けやすい粒子となって体内を循環しています。このような粒子のことをリポタンパクといいます。リポタンパクは、比重の違いにより4種類に分けられ、この中でコレステロールを多く含んでいるのがLDLとHDLです。なお、β‐クリプトキサンチンなどのカロテノイド類も水に溶けませんので、リポタンパク粒子の中に取り込まれて各組織に運ばれています。β‐カロテンやリコペンは主にLDLによって運ばれ、β‐クリプトキサンチンやルテインなどはLDL、HDLクの両方に取り込まれることが判っています。



 Sugiura M, Matsumoto H, Kato M, Ikoma Y, Yano M, Nagao A. Seasonal changes in the relationship of β-cryptoxanthin and serum lipid level. J Nutr Sci Vitaminol 50: 410-415(2004)

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