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みかんの機能性
第9回
みかんは肝臓を守る?(その2)

 第3回「ミカンは肝臓を守る?」では、ミカンをたくさん食べることがアルコール性肝障害を予防する可能性についてご紹介しました。アルコール性肝障害になる原因の一つにフリーラジカル(活性酸素種)の発生があります。このフリーラジカルは肝細胞に直接障害を与えることがわかっています。このように、フリーラジカルなどが細胞の働きを傷害することを酸化ストレスといいます。肝細胞に障害を与える酸化ストレスはアルコールの他にも、薬の代謝・解毒を行う過程でも発生します。
 
 一方、最近の研究から、糖尿病のような慢性的な高血糖状態では酸化ストレスが高まることがわかっており、この高血糖状態による酸化ストレスも肝細胞に障害を与えることが予想されます。そこで、高血糖者の肝機能とミカン摂取の関連について調査が行なわれ、これらに新たな関連が見出されましたのでご紹介します。なお、本研究は独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点の杉浦実先生によって行なわれたものです。

                                          


 本研究は、国内有数のミカン産地である静岡県浜松市三ヶ日町住民の協力を得て行われました。過度の飲酒歴や肝疾患のない男女857名を対象に、血液中のALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値が測定され、ALT値と血中β-クリプトキサンチンレベルとの関連が調べられました。なお、ALTは肝臓に最も多く存在するアミノ酸代謝酵素の一つで、肝細胞が障害を受けるとこの酵素が血液中に漏れ出し検査値が高くなることから、肝機能障害の指標とされています。

 調査された結果を図1に示します。正常群、糖尿病予備群、糖尿病群で血中ALT値を比較しますと、血糖値が高いグループほど数値が高く、肝機能が低下していることが確認できました。
ところが図2に示しますように、高血糖であっても血中のβ-クリプトキサンチンレベルが高いグループでは血中ALT値は正常群とほぼ変わらないレベルであることが明らかとなりました(この調査では糖尿病予備軍と糖尿病の人を併せて高血糖群として解析されています)。

 今回の調査結果から、β-クリプトキサンチンが豊富に含まれるミカンが、慢性的な高血糖が原因と考えられる肝機能低下に対して有効な予防食品である可能性が考えられます。





 Sugiura M, Nakamura M, Ikoma Y, Yano M, Ogawa K, Matsumoto H, Kato M, Ohshima M, Nagao A. Serum carotenoid concentrations are inversely associated with serum aminotransferases in hyperglycemic subjects. Diabetes Res and Clin Practice 71: 82-91 (2006)

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